えっ、納税まで クレジットカード対応?
給与の源泉税もクレジットカード払い 平成29年6月12日(月)から、e-Tax(国税電子申告・納税システム)から「国税クレジットカードお支払サイト」へのアクセスが可能となりました。源泉所得税の申告・納付は、銀行に出向いて窓口で納付するよりも、インターネットバンキングで納付する方が楽ですので、税理士自身e-Taxを使い、関与先にも利用を勧めている方も多いでしょう。6月下旬に源泉税の納付の際に、いつもと画面が違い、「あぁ、クレジットカード納付がいよいよ始まったのだな」と気づかれたかもしれません。 クレジットカード払いの利便点 出張の際の新幹線や航空券の購入、ホテルの宿泊代の支払いはもちろん、毎月の電気、ガス、電話代にいたるまでクレジットカード払いができるようになっています。 クレジットカードの請求書に添付される「ご利用明細書」等は、①その書類の作成者の氏名又は名称、②課税資産の譲渡等を行った年月日、③課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容、④課税資産の譲渡等の対価の額、⑤その書類の交付を受ける者の氏名又は名称が記載されていることが一般的ですので、消


役割貢献度賃金の設計
日本経団連が、2008年度に提唱した「仕事・役割・貢献度に基づく賃金制度」を契機として、日本の企業では、旧来の年功賃金から役割貢献度賃金へ転換するケースが目立っております。 役割貢献度賃金の設計方法 この役割貢献度賃金では、仕事・役割に基づく貢献実績を評価した結果を賃金制度に反映しやすい設計としなければなりません。 管理職のケースで、代表的な賃金体系を例示しますと、図の通りとなります。 ①月例給の賃金体系を役割給と貢献給(業績による経営貢献度を反映する給与)に区分します。 ②役割給は課長・次長(または副部長)・部長等、役職の役割・責任に対して支払う給与で、一般に役職別単一給とします。なお、M1級~M3級を、所管部署の役割・責任の大きさ等からさらに細分化し、例えばM1級~M5級に区分する場合もあります。 ③役割給は、目標管理制度などによる経営貢献度評価の積み上げで、昇給、または降給します。 (たとえば、「2年連続して、経営貢献 度評価A以上、役割変更で昇給」。「2年連続して経営貢献C以下で降格・降給」) ④貢献給は、管理等級別の重複型範囲給(各級
なぜ手の内を教えなければならない!? BEPS行動計画12
早い者勝ちの節税戦略 国内・国際を問わず租税戦略計画(タックス・プランニング)は、いかに、合法的な範囲内で税法の隙間を見つけ、租税負担を少なくするかの頭脳勝負ともいえます。対戦するのは、納税者(+アドバイザーの税務専門家)と税務当局(=現行税法)です。 先に税法の隙を見つけた者が合法的に節税し、それに対して後から国税側が税制改正で蓋をするという鼬ごっこです。典型的な例が、相続税法における贈与税の納税義務者の定義から外れるような(税法の)想定外の動きをして、約1,330億円の贈与税を回避し、最終的に最高裁で課税されないとの判決を受け、400億円の還付加算金まで受けた武富士贈与税事件です。 行動計画12:義務的開示制度 OECD(経済協力開発機構)のBEPS(Base Erosion and Profit Shifting=税源浸食と利益移転)プロジェクトの行動計画12は、租税回避を抑制するとともに出現した租税回避スキームに速やかに対処するため、プロモーター(=節税アドバイスをする専門家のこと)及び利用者が租税回避スキームを税務当局に報告する制度(義
単一税率を維持する方法
税理士会の消費税制建議 税理士会は最近公表の税制建議書で、消費税について、インボイス方式導入反対と単一税率制度維持の主張をしています。
税理士会のこの見解はよいとしても、平成28年の税制改正で、消費税10%増税と軽減税率導入・インボイス制度導入とはワンセットの制度となった以上、従来通りの主張をしても見向きもされないでしょう。 インボイス導入は国税の悲願 国税当局は、マイナンバーに執着しない方向に転換しています。それに代わるものとして、インボイス番号制度が国税にとって極めて魅力的な権力の培養器として採用されました。だから反対は困難です。
日税連は、インボイス制度による小規模事業者の排除が課題と考えるのなら、免税事業者制度をなくしての何十万円かの基礎税額控除制度創設の主張に変えるべきです。それなら、排除は起きません。 単一税率を維持する方法はある 税率アップでも単一税率を維持する方法があります。逆進性の回避を制度として埋め込んだ、消費の総量に対する累進税率制度を導入すればよいのです。
消費税の累進税率制度とは、消費者の消費税還付制度のことです。
退職後の競業禁止規定
退職後に競業を禁止することはできるか 最近、退職者が同業他社に就職し、自社のノウハウを他社で使ったり、自社の顧客を奪ってしまったという相談が増加しています。
また、そのような事態を防ぐために、就業規則や誓約書で、退職後、転職や独立により競業行為を行ってはならないという規定、すなわち競業禁止規定を置いている企業も多くなっています。では、このような規定により退職後の競業を阻止することはできるのでしょうか。 有効となるケースは限定的 まず、在職中の従業員は、労働契約の付随的義務として、当然に競業禁止義務を負うと考えられています。
これに対し、退職後については、就業規則や誓約書・合意書などに明確な規定がなければ競業を禁止することはできません。また、規定があったとしても、有効になるケースは限定されています。このような規定は、退職者について、憲法で保障された職業選択の自由や営業の自由を制限するという側面があるためです。 どのような場合に有効となるか では、どのような場合に有効となるのでしょうか。判例では、概ね以下の基準により合理性が認められる場合に限り有
手付解除
手付解除とは 不動産の売買において、売買契約後引き渡しまでの期間にその契約をやめたい場合に手付解除ができます。 買主が解除する場合は、支払った手付金を放棄します。売主が解除する場合は、買主が支払った手付金と共に、更に同額を買主に支払います。 手付解除は買い手の資金繰りの都合がつかないといった場合が多いのですが、往々にして、更に条件の良い買い手が見つかったとか、更に良い物件が見つかった場合に手付を放棄したり、倍返しをしても、解除したほうが有利と判断された場合にも起こります。 法人の場合 通常は、支払った場合は費用でもらった場合は収入です。但し上記の例のように、更に条件の良い物件が見つかって別の物件を購入する為に、手付解除で手付金を放棄した場合などで、直接因果関係が明確な場合は、別の物件の取得価額とされます。 また、不動産業者の棚卸不動産で、売却予定していた物件を手付解除で売却しなかった場合などは、棚卸不動産の取得価額に加算される場合もあります。特に手付解除の時期と不動産売却の時期が決算期をまたぐ場合は要注意です。 個人の場合 売主買主を問わず、手付


海外事業の人材確保
我が国では、人口減少に伴って国内市場の縮小傾向が強まり、生産拠点・消費地として中国・東南アジアが大きな存在となっており、人材確保が重要課題となっております。 海外事業活動の変化 経済産業省「海外事業活動基本調査」によれば、下表の通り海外事業が拡大しており、特に2008年以降の非製造業の現地法人数の増加が顕著で、04年比1.86倍に達しております。 また、国際協力銀行の調査によると、製造業の海外生産比率・海外売上高比率は大きく高まっており、2016年度(実績見込み)は4割に近づいております。さらに今後3年程度の中長期的な海外事業の見通しについて、80.5%の企業が強化・拡大すると回答しています。 海外事業展開を支える人事施策課題 海外拠点の増加に伴い、経営の現地化も視野に入れ、現地の幹部候補人材やナショナルスタッフの採用・研修・育成など、現地従業員のマネジメントを担う人材確保育成が課題となっており、特に中堅・中小企業において、本社の従業員を海外拠点に長期間配置するケースが増えています。 人材確保に関する経営者の留意点 グローバルに活躍できる人材確保
ふるさと納税上限規制で得する人
過熱する返礼品競争に総務省が待った 過熱する一方のふるさと納税返礼品競争に対し、総務省が待ったを掛けました。「返礼割合の高い返礼品」や「金銭類似性の高いもの」そして「資産性の高いもの」を自粛するように、各自治体に対して、総務省が平成29年4月1日付で通知し、通知を通じて徹底を要請していくということです。 これまでは具体的な基準を示していませんでしたが、「返礼割合は3割以下」、「商品券などの換金できるものはダメ」、「家電品も転売できるのでダメ」といった通知です。 ふるさと納税の返礼品は、知られていなかった地域の名産品を全国の人々に知ってもらう良い機会です。返礼品が気に入って、通信販売などで直接取寄せにつながれば、地域経済振興にもなります。 その趣旨では意味があるので、国も平成27年4月から、限度額を2倍に拡大し、ワンストップ制度も導入しましたが、歯止めが必要になったということなのでしょう。 最近の過熱ぶりの一端も規制に影響? 最近はそれまで年一回限りの返礼品を何度でもOKとしたり、人気のある品は前年から予約の寄附となったりしています。限度額に余裕の
海外に事業拠点を持つ会社は要注意! BEPS行動計画7
海外事業拠点を持つ会社に影響する場合も OECD(経済協力開発機構)が推進しているBEPS(Base Erosion and Profit Shifting=税源浸食と利益移転)プロジェクトの行動計画は15ありますが、もし、貴社が海外に事業拠点を持っているとしたら、「行動計画7:恒久的施設(PE)認定の人為的回避の防止」が影響してくるかもしれません。 海外進出の形態はいろいろあります。まずは連絡事務所として駐在員事務所を設置する段階が初期段階ですが、最初から営業活動も行えるように支店登記する場合や、現地の法律に基づき現地子会社を作ることもあります。海外進出の理由(例:輸出売上を現地販売に切り替えて利益増を図る)や背景(例:元請先の海外進出に伴い渋々従う)によってもどんな事業形態なのかが違ってきますし、課税関係も変わってきます。 また、現地に事業拠点を持たない場合でも、その国の代理店との事業契約の内容如何では、影響があるケースも考えられます。 行動計画7:恒久的施設(PE)認定の人為的回避の防止とは 行動計画7は、代理人PEの要件に該当しない販売委


人・組織づくりの構造的改革
人・組織づくりは、マネジメント改革・人事制度改革など、単一の制度改定だけでは成し遂げられない困難性をもっております。最近の5年間に「未来価値創造に挑戦する人・組織づくりの構造的改革」を推進してきた、大手電器メーカーP社の事例紹介を通じて、「構造的改革」の意義を考えてみましょう。 構造的改革の意義 図示したように同社の構造的改革は、以下の通り、四つの改革から成っております。 このように、最終目的を達成するために必要な四つの改革をそれぞれ推進するとともに、相乗的な効果を狙う点に構造的改革の意義があると言えましょう。 経営者の留意点 経営実態によって改革課題は異なりますが、特に人と組織の改革は、このような構造的改革を必要とすることが多く、トップの視点で、改革目的・改革対象など改革方針を明示しましょう。